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2011年2月25日 (金)

勝利へ 金子達仁 戸塚啓 木崎伸也

今回読んだ本はフットボール本です。
この本もともとは2006年12月に「敗因と」っていう題で出版されたようなんですが、文庫化に伴いタイトルを変えたみたいです。
なんで改題したのかは謎ですが、今回読んだのは文庫版の方です。
ちなみに2010年2月に出てます。
南アフリカW杯前ですから、便乗による文庫化でしょうか!?
改題で多少は景気良く、明るい感じになってますからね。

この本は全10章からなっており、それぞれの章で金子達仁、戸塚啓、木崎伸也が腕を奮っております。
全てに共通するテーマは2006年ドイツW杯における日本代表の戦い。
期待されながらも無残に散ったらしい日本代表チームについて書かれています。
らしい、と書いたのは試合を観ていないから。
あの大会の日本代表は1試合どころか1分も観てません。
本大会どころか予選、テストマッチ含めて全然観てないです。
もうこの頃は完全に海外厨だったんで(苦笑)
って今も代表の試合は観てませんが。。。。

なので、私にドイツ大会の日本代表について語る資格はありません。
そもそもそんな奴が、この本読むなよってハナシです。
解ります、普通そう思いますよね。
今回の読書動機は、知らんからこそ知りたい、これだけです。
勿論この本に書かれている事を全て鵜呑みにするつもりもないし、全て否定する気もありません。
フットボールってのは主観のスポーツですからね。
色んな見方を楽しみたい、それだけです動機は。

それでは各章を振り返っていきたいと思います。
色々ツッコミいれていきますが、前提条件は前述の通りなのであしからず。


◆プロローグ 「最期」戸塚啓

ブラジル戦終了後、ピッチ中央で動けなくなった中田英寿について主に書かれています。
何故彼は動けなくなったのか、そして何故誰もヒデに声をかけにいかなかったのか。

このシーンは結構話題になりましたよね。
「演じてる」「格好つけすぎ」みたいな否定的な意見も多かったですが、その後ヒデの現役引退が発表されると少しはネガティブな声も沈静化したような記憶もあります。
ただ時間経っただけでやったかな?
まぁそのへんはいいか。

この場面、日本の選手、スタッフは誰もヒデの所へ行かなかった、という話みたいですが実はカフェ宮本と並木っていう代表のトレーナーは声をかけにいってたみたいです。
カフェは一応キャプテンやから当然っちゃぁ当然ですわ。
でもアドリアーノは心から心配していたようです。
(ブラジル人でアドリアーノって名前は非常に多いので蛇足ですがこのアドリアーノは怪物の方のアドリアーノです。インテル、パルマ、ヴィオラetcでプレーした方のね)
アドリアーノはヒデに声をかけに行き、そして日本人が誰も来ない事に違和感を覚えていた、と。

う〜ん、なるほど。
プロローグにこういった文章を持ってくるのは中々上手いね。
次の章が気になるもんね。
では次の章行ってみよう!!

◆第1章 「愛憎」 戸塚啓

監督退任後3ヶ月程が経った時点でのジーコのインタビューと通訳として長年連れ添った鈴木氏の証言をベースに構成された章です。

ジーコがまず怒っていたのはキックオフ時間について。
オーストラリア戦、クロアチア戦と2試合連続で(暑い)15時キックオフだった事にキレております。
で、この試合時間を決めたのは実は日本側だと。
TV放映時刻の都合でね。
2006年当時もネットかなにかでそんな記事を見た記憶はありますが、「どうせ電通や朝日を陥れようというデマだろ」ぐらいに思ってました。
(ハッキリと断言しときますけど私は電通と朝日に肩入れしているわけではありません!!)
ただネットでは疑ってかかった事も、こうして「本」として読むと事実だ!って思ってしまいます。
これってホンマにマジックですよね。

え〜、話が逸れました。
とにかくジーコ曰く暑さがキツかったと。
実際日本の夏はもっと暑いだろ、とかもっともっと暑かった中国でのアジアカップでは勝ってるだろ、とか暑い方が日本にはむしろ有利なんじゃねぇの?とか意見は色々あるでしょ。
しかしながらここでの戸塚さんのファインプレーは客観的なデータを出してきた所。
つまり「15時キックオフの試合を2試合続けて戦ったのは日本、セルビアモンテネグロ、トーゴのみ。そしてこの3チームは全てGL敗退だ」と。
こういうデータは説得力ありますよね。
トーゴにしてもセルビアにしても、じゃぁ涼しかったら勝ててたの?ってツッコミは無しで。
もっと誰もが認める強豪国だとよりデータに説得力はありましたけどね。

暑さ以外の敗因分析は小野伸二の投入について。
伸二がピッチに送り出されてから3失点を喰らい逆転負けしたので、一般的には伸二が戦犯になってるようです。
伸二と共に、そもそものジーコの采配についても糾弾されてたわけですが鈴木氏はジーコを擁護し伸二を責めるコメントを出しています。
ジーコの意図としては、あの時間帯ボールポゼッションを上げたかったらしいです。
そこでボールをキープ出来る選手、ボールを回せる選手って事で伸二に白羽の矢を立てた、と。
しかし鈴木氏曰く、伸二はジーコの意図が全く解ってなかった、と。

個人的にビックリしたのは個人批判が本になってる、ってコトです。
日本人が日本人を批判するってコト自体があんまりないのに、それがしっかりと本になってる!!
これって珍しくないですか?
結構オブラートに包む民族ですからね、日本人って。
一介の通訳が「世界のONO」を批判してるわけですから、これは中々ですよ。
このくだりで、この本期待出来るかもって思ってきました。

更にジーコの敗因分析は続きます。
そもそも3失点喰らう前に日本が2点目を取るチャンスが山ほどあった、と。
そこで試合を終わらせる事が出来なかったのが敗因やと。
つまりストライカー不足、決定力不足、とな。

こういう試合って、年間何百試合もありますよね。
押しまくってたのに決めるべきチャンスを決めきれないうちにワンチャンス決められて負ける、みたいな。
世界有数のストライカーが揃ってるチームでも割りとあるハナシです。
でも世界トップクラスのプレーヤーだったジーコからすれば我々が観てる以上に、思ってる以上に歯痒い場面が一杯あったんでしょうな。
名選手が指導者になる1つの弊害だわな。
アリゴ・サッキやモウリーニョなら思わない事、感じない事、見えない事まで見えるんでしょうから。

そして文章は名選手だったジーコならではの事象に踏み込んでいきます。
俊輔を絶対に外さなかったのは同じ10番として自分自身を投影していたからではないか、怪我の久保を最終メンバーから外したのは自分自身も怪我で苦しんだW杯があったからではないか、ベンチから指示を出さないのは現役時代ガタガタ指示を出されるのが嫌だったからではないか。
全てが正しいのか知りませんが、この分析は中々オモシロかった。
ジーコに限らず、フットボールの監督っていう仕事に限らず、結局何にしても自分自身が一番の判断材料になりますからね。

文章の最後はジーコの日本への信頼で締め括られます。
ジーコは日本の可能性を信じていた。
ジーコは日本の潜在能力を高く評価していた。
だから自由を与えた。
あのジーコが言うんだから間違いなかったんやろうな、と個人的には思う。
フットボールってのは強いチームが勝つとは限らないスポーツ。
ましてやグループリーグは3試合の超短期決戦。
ボタンの1つの掛け違いだけで絶対王者が敗退する事もあるし、アウトサイダーがのし上がる事もある。
だからといって日本の結果を「不運」の一言で片付ける気はないですが、全てが駄目だったというのもおかしなハナシではないかと感じた。


◆第2章 「団結」 戸塚啓

藤田俊哉、三浦淳宏、土肥洋一の3人を中心にした章。
この3人の共通点は30代のベテランという事、そしてドイツ大会に出場出来なかった事。
土肥は第3GKとしてドイツには渡りましたが、トシヤとアツはジーコジャパンに途中まで選出されながらも最終メンバーには選ばれませんでした。

この章で戸塚さんが言いたい事は最期の文章に要約されています。

「ドイツ・ワールドカップの日本代表には、30歳以上の選手が3人しかいなかった。
3人ともGKだった。
フィールドプレーヤーに30歳以上の選手がひとりもいないのは、32か国で日本だけだった。」

つまりベテランのチカラが必要だった、と。
こう言いたいわけですね。
ドイツの地でジーコジャパンは内部分裂も含めバラバラになったとされていますが、纏める事が出来るベテランがいれば防げたんじゃないか、と。

ただジーコのメンバー選考の全てを否定する気にはなれません。
何故なら当時の日本は所謂「黄金世代」が年齢的に絶頂にあった時代でした。
だから彼等を中心に選ぶのは至極当然の話で、2002年の代表メンバーと殆ど変わらなかったのも当たり前の話です。
じゃぁ誰を外してベテランを入れる?と。
トシヤやアツが入る余地はあったのか?と。
結果論で言うと(フィールドプレーヤーで唯一出場機会の無かった)ヤットの代わりにトシヤやアツを入れていても良かったのかもしれない。
本当なら田中誠が唯一の30代フィールドプレーヤーになっていた筈なんですが、直前の怪我で大会メンバーにエントリーされながらも直前の怪我で茂庭とスイッチ、という不運も。
「マコがいれば・・・」っていう声も実際にはありましたし。
怪我で言えば久保もそうだしね。
怪我なく順調にいってれば巻ではなく久保が選ばれていただろうし。

と、まぁハナから30代の選手を全く除外していた訳ではないので結果的に30代のフィールドプレーヤーが0になったのは不運な面もありましたよ。

2002年の時は秋田、中山というサプライズ選出がありました。
本来なら実力的には中澤や俊輔、久保etcが選ばれる筈だった所に秋田とゴン。
これには賛否両論ありましたが、結果的には上手くいった。
2002年当時、秋田の選出に憤りを感じていた中澤もドイツ大会後にはトルシエの当時のチョイスを尊重しているという。
勿論ドイツ大会のメンバーに30代の選手がいたからといってGL突破を果たせていたとは限りません。
やってないもんですから推測しか出来ません。
逆に日韓大会に俊輔や中澤がいればベスト16を突破出来ていたかもしれません。
だからトルシエの選択が正解でジーコの選択が間違いだと断言するのは横暴です。

個人的に良かったと思えるのは、こういう2つの対照的な事例が出来る事です。
今でも日本代表というのは上手い奴から順番に選ばれると思っている人は結構多いです。
日本代表選手と、非日本代表選手なら前者の方が上手い、とね。
必ずしもそうではないっていうのが多くの人に伝わっていく材料になるんだったら、この失敗も大いに結構だったんじゃないかと。


◆第3章 「確執」 木崎伸也

中田英寿と他の日本代表選手との"確執"を描いた章です。

感想としてはヒデも悪いし、他の選手も悪い。
みんな悪いですよ。

結構個人名やプライベート(な筈)のエピソードがズケズケ出てくるので驚きました。
ちょっと下世話な印象も。
例えばホテルでの食事の際の席の話。
曰く、食事の際には3つのグループが出来ていた、と。
伸二を中心とする高原、稲本etcの黄金世代組。
俊輔、ヤットやアレックスetcの控え目、おとなしい組。
そして宮本、楢崎、福西etcのディフェンス陣中心の年長組。
で、ヒデは何処にも属さなかった、と。
皆が食べ終わってから食事を始めたり、1人で座って誰と会話する事もなく食べていたり。
誰が木崎にチクったのか、はたまた木崎が見てたのか知りませんが、ほっといたれよ!って話です。
こういうエピソードって美談よりも食い付きが良いからね〜、余計タチ悪いのよね〜。

で、何故確執が出来たかってハナシなんですが、ジーコの贔屓やと。
ジーコがヒデばっかり尊重するからや、と。
小学生の学級会か!!エコ贔屓がどうたらこうたらとか、ホンマ。
どこまでホンマのハナシかは知りませんが、程度が低過ぎるでしょ。
ここにきて第2章のベテランの話に重みが出てきましたよ。
確かにこの場面でカズやゴンがいれば纏まってた気がするわ。

例えばヒデが入るまでは3-5-2だったシステムが、ヒデが入ると4-4-2になったと。
3-5-2だとヒデが入る余地が無かった(実質中盤は3人)ので、ヒデのポジションを作る為に4-4-2(文字通り中盤は4人)にしたんじゃないのか、とかね。
ホントだとしても正直それは受け入れなアカン、と思いますよね。
スーパースターの加入で今までのレギュラー選手が追い出されたりとか、システムそのものが変わったりとか、これまでのサッカー人生でも何度もそういう事は経験したり見たりしてきている選手達ばっかりだと思ってたんですけどね。
日本代表なんですから。
そもそも監督が選手を選択するのは"趣味"が大部分を占めるんですから、ある選手からしたら「理不尽」とも思えるチョイスなんて幾らでもあったろうに。

更に文章はヒデへの攻撃を止めません。
曰く、ヒデのプレーが衰えていた、と。
曰く、他の選手へのマスコミを通しての「口撃」が盛んだった、と。
確かに全盛期のヒデから比べると、当時のヒデは落ち目な時期にあったと思う。
それに当時日本のフットボールを殆ど観ていなかった私でさえ、ヒデがインタビューで何度かチーム批判をしているのは見た記憶がある。
でもそれでも他の選手よりは上のレベルにあったと思うし、インタビューで応えてた事も正論でした。
正論だからこそウザイ、って気持ちは解るけど大人なら受け止めないとね。
まぁヒデも、もうチョット大人になれよ・・・とは思う。
中田浩二が誘っても誘っても輪の中に入って来なかった、とかね。
ナカタコが可哀想やんwww

更に更に批判は他の選手へも飛び火します。
チームメイトから陰口を叩かれていた選手が3人いた、と。
言わずもがなのヒデと宮本、そしてアレックスだそうです。
「ジーコでなければ先発してない」と言われていたらしい。
だーかーらー、フットボールってのはそういうスポーツやねん、て。
何回も言うけどーーー!!!!!
今年のバロンドール最終選考に残った3人、メッシ、チャビ、イニエスタ。
そうです、現在最高のプレーヤー達です。
でもそんな彼等だった監督によっては「先発で使わない」っていう監督もいるのよ。
趣味と合わなきゃ必要ないのよ。
ロナウジーニョ全盛時代に、どっかのTV局(フジやったかな?)がJリーグの監督にアンケートしてました。
ロナウジーニョが獲得出来るとしたら欲しいですか、って。
で、確か半分ぐらいの監督がNOって言ったんです。
どういう意図でフジがそういうアンケートしたのかは謎ですけど、そういうもんなんですよフットボールってのは。
だから「ジーコでなければ先発してない」なんて妬みが産まれる要素じゃないやん。
この世界では当たり前の事やん。
ペップがブラジル代表の監督ならマイコンよりもアウベスを使うよ(多分)、ライカールトがバルサの監督だったならブスケよりもヤヤを重宝してたよ(多分)、そんなもんですよ。
だからアウベスよりマイコンの方が上、とかヤヤよりもブスケの方が上、とかそんな理論は成り立たないんですよ。
ホンマに日本代表の選手なら、こんな事でゴチャゴチャ言うな、って思いますよ。
他の監督なら自分達がスタメンかもしれない、って一方で他の監督ならベンチにも入れなかったかもしれない、って事を頭に入れとかないとね。

宮本批判も止まりません。
曰く、日本代表の七不思議、代表にツネがいること。
曰く、宮本は対戦するのが恐くない、片手だけで抑えられる。
いや〜、容赦無いですね。
ゴシップ紙か、ってぐらいの個人攻撃。
どうせなら大会前に大々的に発表すりゃ良かったのに。

ヒデがカズに大会前に悩みを打ち明けていた件は私も覚えています。
カズ信者ですから。
自分にはカズさんみたいな人間の大きさがない、とか年齢が下の選手達をどうカバーしていったら良いのか判らないとかね。
当時は、おっ中田もようやくキングの偉大さを理解してきたか、なんて偉そうに思ってた記憶があります。
ただ今になって再び読んでみるとヒデの苦悩が何とも痛ましい。


◆第4章 「七色」 金子達仁

ヒディンクへのインタビューをベースにして、ヒディンクを掘り下げた章です。
何故ヒディンクについて書かれていたのか、っていうとそれはもう日本の初戦の相手だったからでしょう。
そしてこの初戦での結果、内容がドイツ大会の全てを決めたと言っても過言ではなかったからでしょう。
ヒディンクという監督が如何に素晴らしいか、ひねくれた見方をすれば如何にジーコと違うかが書かれた章です。

まぁでも個人的にはジーコに対してアンフェアな気がするんですよ、ジーコとヒディンクを比較するのは。
そもそも監督歴が違い過ぎますから。
今まで率いてきたチームから考えても全然違い過ぎますんで。
2人に監督としての力量差があるのは当たり前なんですよね。
勿論ペップの様に監督歴が殆ど無かったにも関わらず結果を残す監督さんもいてますよ。
ただじゃぁペップとヒディンク、またはペップとファーガソンなんかを比較して意味があるんか、っていうと全然無いと思うんですよね。
それはプレーヤーとしてのジーコとヒディンクを比較するのと同じぐらいに意味が無い事だと思います。
だから批判は協会に向けられるべきなんですよ。
そういう監督を選んだ協会、ひいては川淵にね。

ただこの章にも良いな、と思える箇所はありましたよ。
それは「オーストラリアでヒディンク批判が起こっていた」っていう点。
そして「勝ったオーストラリアでさえヒディンクの手腕について賛否両論があるのに、負けた日本ならばさもありなん・・・」っていう所です。
こういうのは声を大にして言うべきですよ。
日本では少しでも批判されると何か変な雰囲気になりますが、そもそもフットボールってのは主観のスポーツなんで賛否両論があって当然なんですよ。
皆が賛成、皆が反対なんて方が異常事態な訳で。
だからもっと色んな意見が出るべきだし、それに対して頭から間違っているとかいう判断をするのはオカシな事なんです。
ヒディンクの様にスタメンを固定しないやり方が絶賛される一方で、批判もされる。
これすなわち正常な状態、ってコトですよ。

◆第5章 「晩餐」 木崎伸也

日本代表選手の食事会をネタにチーム内の分裂について書いております。
もうこの章に関しては憤りしかないですよ。
話が下世話過ぎる。
読んでてイライラが止まりませんでした。
んで、誰に一番イライラしたか、っていうとドイツにある日本食レストラン「かみじょう」の上條徹にです。
こいつ頭おかしいんちゃうか!?
なんで客の事をペラペラ喋ってるんですかね。
自分の店に来た客がどんな振る舞いをしてたか、とかそんな事1から10まで話したら駄目ですよ。
誰が来たか、なんて事すらも本来は黙っておくべきでしょ。
「こんな有名人が来ました」みたいな事を自分から言ってくる店って全然信用出来ないですよね。
勿論許可を取っての事なら良いんですが、あまりに客のプライベートな部分を考えていないっていうか・・・。

具体的な話が多過ぎるんですよね。
会話の内容とか席順とか。
それにこの上條って奴ね、話が矛盾しまくってるんですよ。
最初に俊輔が店に来るってハナシになった時は、俊輔の名前と顔すら一致していない状態だったらしいんですよ。
V9時代の巨人にドップリとハマっていた世代らしいので。
ところが次に日本代表メンバー全員で来た時には、誰がどの席に座っていたかまで全て把握している、っていうんです。
おかしいでしょ?
ド素人に駒野と加地の見分けがつくとは到底思えないんですけどね・・・。
しかもコイツ板前なんですよ。
別にホールスタッフ、フロアスタッフじゃないんですよ。
つまり料理に集中せなアカン身なのに、どこまで客の事を意識しとんねん、と。
良い風に言うとお客様に気配りが出来る主人、悪い風に言うと低俗な事が気になって注意力散漫な主人、です。
この食事会やってる最中に久米宏から電話がかかってきた、っていうエピソードも余計やわ。
で、久米宏には「日本代表は来てません」って言ったらしい。
そこまではプライベート守れてるのに、結局その後は台無しにしちゃってるし、こんなハナシをだされた久米さんも可哀想です。

で、更に悪い話は続きます。
ブラジル戦終了後、伸二とナカータが別々に店に来たらしい。
そして先に来た伸二に、ナカータが後から来る旨を伝える(予約してたらしい)と「えーー!ヒデ来るの?」という伸二のリアクション。
そしてナカータが来る前に店を出た、と。
なんなん、この伸二を陥れたいハナシは!?
誰得なん??
プライベートに土足で踏み込みすぎやで、ホンマたいがいにせなアカンで。

◆第6章 「齟齬」 木崎伸也

DFラインの高さ設定の問題から分裂していったチームの内情を描いてます。
前にも言った通りに日本代表の試合を全く観ていなかったので、実際ジーコジャパンがどんな内容の試合をしていたか全然知らないんですよね。
だからまさかW杯本番になっても、DFラインをどうするかみたいな初歩的な問題で意見がブツかっていた、っていう事実に驚きました。
よくそんなんで予選突破出来ましたよね。
どんだけアジア予選のレベル低いねん、って話ですよ。

いや〜、ビックリだわ。
しかもそれがジーコの責任、ってのもなんだかなぁ〜。
確かに監督が決めなアカン事ではあるけど、就任して4年も決まってない状態が続くってのは監督だけの問題かと。
DFとFWの意識の違いとか、海外組と国内組の意識の違いとか色々言い訳っつうか解釈はあったみたいですが、「ボタンの掛け違い」で済まされる問題じゃないと思うんですよね。
ここまで代表チームのレベルが低かったとは・・・。

◆第7章 「消極」 戸塚啓

日本とクロアチアの試合を現地実況を基にして振り返っています。
結構現地の人達って辛辣な事を言ってますね。
どちらの味方でも無かったりするから時に酷く、時に優しくなれるんでしょうが。
まぁ客観性が保たれている分、当たっている事が多いですよ。

あと意外に日本の事に詳しかったりするから驚きです。
例えば宮本がガンバでは控えなのに代表に選ばれていたりする事も、しっかりと知ってましたし。
日本のメディアは、こういう事実から目を背けて都合の良い事ばかり報道しますが、海外はやはり誠実です。
そして「宮本は日本代表にとって、明らかに危険な部分だと言えます。」とバッサリ切り捨てます。
誰に気を遣う必要も無いし、利権が絡んでいる訳でもないから思った事を素直に言えるんですよね。
本来、報道ってのはこうあるべきなんですが・・・。

柳沢の伝説のQBKに対しても「ルディ・フェラーなら、ギプスをはいていても決めている!」と手厳しいコメント。
う〜ん、まぁ言われてもしゃーないか。

◆第8章 「落涙」 戸塚啓

日本とブラジルの試合を現地実況を基にして振り返っています。
なんか、この章は特にインパクトのある事象や書きたくなるような事がありませんでした。
そうなんや〜、って感じで淡々と読んじゃいましたね。

ジーコがブラジルが若手主体で来る事を嫌がっていた事も「そらそうやろな」って感じでしたし。
日本に先制されたブラジルが同点、逆転と上手く事を運んだ次第についても、まぁ納得ですよ。
まぁ実際の試合を観ていないだけに、試合内容中心の章だと感じる部分が少なくて当然かな。


◆第9章 「敗因と」 金子達仁

全体の総括的な章ですね、タイトル通りに敗因について掘り下げています。
敗因と○○、○○に入るのは何やねんってのは未だに判りませんが(苦笑)

まず小島伸幸の独白がオモシロかったね。
主に話はベルマーレ時代のナカータについてなんですが、バーミヤンに小島がよく行ってた、っていうエピソードは個人的に笑えた。
ええ、バーミヤン好きなんで。
あと、ペルージャにナカータが移籍する際の話もオモシロかった。
「じゃあね、ノブさん」だけだったらしいんですよ、別れの挨拶が。
いやいや、小島ってチーム内でも筆頭ぐらいに位置するかなりの大先輩なんですから、ちゃんと挨拶しよーよ。
しかも普段何も言わないヒデが、そんな事を言ってきたって事で美談になってるんですから2度ビックリですよ。
これでケジメってつくもんなんですかね?
挨拶はちゃんとしましょ。
まぁベルマーレに入団を決めたのも、そういう所をしっかりとしなくてはいけない縦社会的なモンが嫌いやから、って理由らしいんでヒデらしいっちゃぁらしいんですが。

対戦順に対する考察も興味深い。
小倉隆史が「理想的」と考える一方で城彰二は「最悪」と考えていたんですからね。
結果論で言うと正解だった訳ですが、これはもうホントにどちらが正しいとは断言出来ない。
結果論でしか話せない。
チームが崩壊状態だったから、もし初戦がブラジルだとそれをキッカケに結束出来ていたんじゃないか、と。
それは一理あるし、でもブラジル相手にもし大敗を喰らっていたらそれこそ後々立ち直る要素が全く無かった訳で。
まぁ結果論で言うと南アフリカ大会の日本は理想的な対戦順だった訳であります。
初戦に(チームが内部分裂状態だった)カメルーンと対戦出来た訳ですから。
あそこで勝てた事が日本をノセた訳で、あの状態で勝てるチームってカメルーン以外に無かった訳ですから。
初戦にデンマークと当たってたら3-1なんてスコアには(結果論ですが)ならなかったでしょ。
逆にカメルーンは(城彰二論で言えば)初戦にオランダと当たってたら結束して軌道にノッちゃってたかもしれませんしね。
だから勝負はどこで転ぶかわからない、って事ですよ。

この章での最大のツッコミどころは間違い無く「JFAテクニカルレポート」ですよね。
この内容は衝撃的でした。
これは書かずにはいられません。
レポートを書いた田嶋幸三の頭の中を除いてみたい。
達仁も同意見だったようで、若干フォローしつつも田嶋を痛烈に批判してます。
以下、ちょっと長くなりますが抜粋します。
まず日本の強みに関して、FIFAランキングではなくヨーロッパでプレーしている選手の数だ!って言ってるんですよ。
ほうほう、つまりオーストラリア人、クロアチア人、ブラジル人よりも日本人の方が多くヨーロッパでプレーしている、とそう言いたい訳ですよね、と誰もが思うじゃないですが。
しかしこの後の田嶋の文章が衝撃的。
曰く、オーストラリアは120〜130人の選手がヨーロッパでプレーしている。日本は7〜8人。しかも中田英、中村俊も100%試合には出ておらず、常に試合に出ているのは松井大輔だけである、と。
ええーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!
文章メチャクチャやーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!!!!!!!
なんなんですか、この理屈。
こんな理屈初めて聞いたわ。
完全なる弱みを強みって言ってるんですよ、これ。
全く理解出来ない。
しかも松井はジーコジャパンから外れてるしね。
これ田嶋は読み直して提出してるの?そして誰も添削してないの??
誰も読まずに発表しちゃったの???誰か発表前に読んだら「田嶋さん、これ文章おかしくないッスカ?」ってなもんでしょ。
もうネタとしか思われへん。
協会カス過ぎるでしょwwwww

まぁ田嶋批判はこれぐらいにして、本編に戻りましょうか。
達仁が辿りついた1つの敗因。
敗因は幾つもあり、その全てが正しいわけですが一番大きな敗因。
それは目標と負荷が無かったからだろう、と。
アトランタ五輪予選のチームは、日本にW杯を招致する為にも絶対に五輪に行かなければならなかった。
だから、あのもの凄い壮絶な準決勝があった、と。
そして達成した後の決勝戦は糞みたいな試合になった、と。
更に言えばアトランタでのチームも完全に分裂していた、と。
城が語っていたように初戦こそブラジルという超強敵だったから結束して戦えたものの・・・、っていうね。
日韓大会の日本代表についても同じ見方が出来る。
あの時は開催国として絶対にGLは突破しなければいけない状態でした。
歴史に汚点を残さない為にもね。
だから突破した後のトルコ戦はグダグダだった、と。
そしてドイツ大会、果たしてどんな目標があったのか。
一応、日韓大会以上の成績を、って事で「ベスト8」なんて言われてた時期もありましたけどね。
そんなお題目は途中からあんまり話されなくなりましたからね。
これはこれで1つの結論として間違いではないでしょう。
改めて書きますが、敗因は1つではありませんけどね。


って、滅茶苦茶長いエントリーになったなぁ。
最後まで読んだ人なんて、いないと思いますが(もし読んでいたら)ありがとうございましたm(__)m


     

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