06-07バルサ総括
ショッキングな結末から1週間。
ようやく気分も落ち着いてきたので、バルサの今季を振り返ってみたいと思います。
毎年恒例のWSDのヨーロッパ総括号も発売された事やしね。
さて、今季のバルサですが開幕前は希望に満ち溢れていました。
圧倒的な強さでリーガ連覇を果たしたチームに更に強力なメンバーが加わったからです。
そうザンブロッタとテュラムです。
(その他の新加入選手にグジョンセンとサビオラがいますが、彼等については後ほど・・・)
最強バルサの中にアラを探すとなると出てくる問題としては、やはり守備でしたからね。
攻撃志向のチームなのでこれは当然。
そんなチームに加わったディフェンスのスペシャリスト達。
これによって本気で穴の無いチームが出来上がったと感じさせられました。
そんな訳でチームもメディアもクレも自信満々状態だった今季のバルサ。
メディアが掲げた今季の目標は「6冠達成」でありました。
6冠とは、
1.CL
2.リーガ
3.国王杯
4.トヨタ杯
5.欧州・スーパー杯
6.スペイン・スーパー杯
であります。
ちなみにこの1〜6の順番ですが、私の中でプライオリティが高い順に書きました。
正直開幕前の私は1番のCLさえ獲れれば良いと思ってました。
今季の望みは「CL連覇!」これのみでした。
89-90シーズンのミラン以降、どのチームも成し遂げていないチャンピオンズの連覇。
高い目標である事は解っていました。
しかし今季のバルサならイケるのでは?
そんな夢を託していました。
ですが、この意識そのものが間違っていたのです。
「CLさえ獲れれば良い」という気持ちの中には「他のタイトルなんて余裕で獲れる」という驕りがありました。
「選手達の中に驕りたかぶる意識があったんじゃないか?」
優先順位として最も低いであろう6番のスーペルコパしか獲得出来なかった今シーズンを終えて、メディアの意見は一致しています。
ホントに選手にそういう気持ちがあったのか?
こんな議論は推測の域を出ないので無駄だと思います。
でも連覇、つまり続ける事の難しさっていうのはソコなんですよね。
いかに傲慢にならないか、いかにハングリーさを保てるか。
言い訳のある状態だと中々良い結果は出せません。
それは何もフットボル界に限った事ではありませんがね。
昨季の欧州5大リーグの優勝チームは全て連覇でした。
しかし今季も連覇を続けれたのはリヨンのみ。
セリエはユーベそのものが制裁で2部リーグへ降格。
そんなユーベの空席はインテル、ローマ、ミランが争うと見られてましたが、結果はインテルの独走でありました。
「充分な補強が出来なかったから」「勝ち点剥奪されてのスタートだったから」という言い訳があったローマ、ミランに対して、インテルはバッシングを受ける程の巨大補強を敢行。
退路を断った事が吉と出た様に思います。(優勝して当たり前というプレッシャーに苦しんだ時期もありましたが)
プレミアも無敵の強さを誇っていたチェルシーが今季は脱落。
「金満オーナーの好みでスター選手を使わなくてはいけなかったから」。
ブンデスのハリウッドチームも「バラックが抜けてしまったから」という立派な言い訳。
そして我等がバルサは「日本まで行かなくてはいけなかった過密日程」「エトー、メッシの長期離脱」「W杯後のシーズンでロナウジーニョのコンディションが悪かった」などなどでしょうか。
う〜ん、「継続は力なり」とはよく言ったものです。
今季のバルサの得点は78、失点は33。
これは連覇を果たした過去2シーズンと比べても、遜色ない数字なんです。
04-05:73得点29失点
05-06:80得点35失点
数字が変わらないのに結果が出なかったってのが、余計に今季のバルサの勝負弱さを物語っています。
マドリー、セビージャ、バレンシア、ビジャレアル、サラゴサ。
この上位6チーム相手のアウェイ戦の成績は、なんと全敗。
更にはデルビーであるエスパニョールにも負けています。
この6試合の成績は0勝6敗の得点3失点13であります。
データだけ見ても単なる敗戦以上のモノが感じられますね。
相手のホームの大観衆を黙らせる、こういう勝ち方が出来るのが王者ですからね。
ちょっとアウェイで勝てなさすぎでした。
今季のバルサに強さを感じなかった理由がもう1つ。
それは連勝の少なさです。
連勝があるとチームに活気が漲りますし、追いかける方の絶望感にも繋がります。
終盤マドリーは6連勝した訳ですが、その間って「いつまでも勝ち続けるんじゃないのか??」って雰囲気があったじゃないですか。
今季のバルサの大型連勝は、3連勝が2回あったのみであります。
ちなみに、
04-05:5連勝1回、4連勝2回、3連勝2回
05-06:14連勝1回、4連勝1回、3連勝1回
でした。これでは強さに違いを感じるのも当然でしょ。
他国リーグでも、ユナイテッドは7連勝を2回もやってるし、インテルは破竹の17連勝、シュツットガルトも終盤の8連勝が優勝に繋がり、リヨンは序盤に9連勝と6連勝を畳み掛けて他チームに格の違いを見せつけました。
今季のバルサに安定を感じなかったのも、こういう理由だと思います。
さてさてそんな無念のシーズンが終わった今、私達の胸にある想いは唯一つ
「今シーズンの悔しさをバネに!」
です。
でもこの想いって今季は何度も胸に抱いたんですよね。
開幕前スーパーカップでセビージャに惨敗した時も「これが良い薬になる」って思ったし。
チェルシー、マドリーに続け様に完封負けした時も「きっと10倍返しにしてくれる」って思ったし。
日本でインテルさんに敗れた時も「遠征の苦しみを怒りに変えて戦ってくれる」って思ったし。
レッズにカンプノウで沈められた時も「アンフィールドで奇跡を起こしてくれる」って思ったし。
不甲斐ないロスタイムの失点を繰り返した末に迎えた最終節でも「ドラマがきっとある」って思ってました。
こういう想いと限りなくニアリーイコールな想いを抱いて、また私は来季の開幕を迎えるのです。
最高やん!!
これぞ醍醐味やん!!!
ホンマに来季は頼むよ!また暗黒期に逆戻りなんて嫌よ!!
楽しく美しく、そして勝つフットボルを期待してますよ!!!
最後に主要選手への寸評をば。
バルデス
今季はかなりの成長を感じました。レッズ戦のズリズリ失点(´Д`;)の様な興醒めなプレーも相変わらずあったのですが、それ以上にビッグセーブが多かった。彼がいなかったらバルサの優勝の芽はもっと早くに無くなっていたでしょう。エラーを少なくしていけば、カシージャス、レイナの牙城を崩す日も近いよ
ジョルケラ
バルデス君がリーガ、CLの全46試合にフルタイム出場した為にメジャー大会では出番無し。その代わりといってはなんだけどコパデルレイでは起用され続けた。まぁコパ観れないのでコメントのしようがない・・・・。
ザンブロッタ
開幕当初はバタついてましたが最終的には完全にフィットした。昨季のバルサの右ラテラルは「攻」のベレッチ「守」のオレゲールという棲み分けだったが、ザンビーは攻守両面において両者を圧倒。世界有数のラテラルである事を異国の地の1年目で証明してみせました。しかも左右遜色なくプレー出来るのでライカーの戦術の幅も広がりました。う〜ん、移籍金安かったなぁ。
オレゲール
短命に終わった3-4-3では右CBの1stチョイスだった。しかしクラシコの退場に代表される様に、今季は自慢の守備にマズさが目立った。政治的発言が誤解されるなど、ピッチ外での話題の方が多かった気も。
ベレッチ
「パリの主役」も今季は苦しんだ。ザンビーの加入によって今季は右ラテラルの3rdチョイスに降格。怪我があったり、3バックでラテラルがいらなくなったりで元々少ない出番がより限られてしまった。
テュラム
開幕前は年齢的な事もあって獲得を疑問視する声も多かった。"マルケスープジョル"というCBコンビが昨季は盤石やったしね。そんな雑音を振り払ったのは他でもないテュラム自身のパフォーマンスでありました。エレガントで正確で、そして力強いディフェンスはまだまだ健在でありました。守備の上手さだけならば未だにプジョル、マルケスよりは数段上。ただバルサは攻撃が求められるクラブです。そういう意味ではマルケスほどの信望をクレから集められていないのは事実でしょう。でもテュラムの加入は色んな波及効果ももたらしたので大正解だったと個人的には思いますよ。
プジョル
今季も魂のプレーでチームを牽引しました。ライカーのローテーションシステム導入によって先発しなかった試合もありましたが、やはり「外せない」という判断に最終的には至ったようです。そりゃそうでしょ。
マルケス
怪我が長引いてしまったのとローテーションシステムによって過去2シーズンと比べると出場試合数は激減。出た試合でも過去2シーズンほどのパフォーマンスは見せれなかった印象です。ただ彼が出てる試合と出てない試合では最終ラインからの攻撃力が雲泥の差なんですよね〜。やっぱりバルサ浮沈の鍵はこの男が握ってるといっても過言では無いでしょう。
ジオ
当初はローテーションシステムによってシウビーニョと交代で試合に出ていたが最終的には確固たるレギュラーとして君臨した。ただ2シーズン連続のノーゴールは淋しい数字。ダイナミックな切り崩しや正確なクロスも激減した。あらゆる点でザンビーよりも劣っており(勝っているのは前線とのコンビネーションぐらいか?)、噂にあがっているD・アウベスやアビダルが加入すると一気に苦しい立場に追い込まれそう。でも漏れはジオ好きなんだけどなぁ〜。
シウビーニョ
そんなジオよりも苦しい立場なのがシウビーニョ父さん。出場試合数が減った理由は怪我が長引いたからだけでは無いでしょう。年々パフォーマンスが低下してるのは本人も否定出来ない事実だと思いますよ。もう1、2年はやれる気もしますが、「バルサ」というクラブではチョット迫力不足な気もします。
イニエスタ
今季のチーム内MVPは間違い無く彼でしょう。タフネスぶりは今季も相変わらずで、ほぼ全試合でフル稼働。代表にも定着してしまったので、見ているコッチが可哀想になるぐらい休みが無かった。その中でのハイパフォーマンスでしたので余計に評価が高くなります。得点能力が上がったのが最大の成長の証でしょう。ペップの予言が確実に現実のモノとなってるので嬉しい。
エヂミウソン
昨季の働きが最高すぎたので今季のパフォーマンスは、どうしても見劣りしてしまいました。故障もあったので仕方ない部分も多かったのですが、強さも迫力も無く、軽さばかりが目立ってしまいましたよね。とりあえず手術するみたいで来季の開幕には間に合わない事が確定。しっかり治して昨季の様な輝きを取り戻してくれい!
モッタ
今季の一番のニュースが「行方不明」ってのはどうよ?自分自身への怒りから迷走してしまった今季のモッタ。エトー舌禍事件の時に代表される様にロッカールームのムードメーカーとしては必要なキャラクターなのですが、ピッチの上では依然輝きを放てず。出ればファウルを繰り返し、黄紙貰って退場の雰囲気を振りまく。ほぼこれの連続でしたね。かつて見られた豪快なミドルや力強いヘディングも鳴りを潜めました。
チャビ
正確なパスワークによるゲームメイキングは今季も健在でした。活躍のインパクトとしてはイニエスタの方があったけど、イニが伸び伸びとプレー出来たのもチャビの存在があってからこそ。レバノン2000の頃の日本代表に例えるならイニが俊輔でチャビが名波ですな。ってスケール小さい方に例えてもしゃ〜ないな。
デコ
なにかと戦犯にされがちな我等が卓球さん。確かにラスト数試合の様な気合いは開幕当初は全く見られませんでしたからね。リーガでたった1得点ってのも彼のポテンシャルから考えると淋しすぎる数字です。出来てる試合は抜群なので、余計に「継続して欲しい」って想いは募るわなぁ
エトー
彼の長期戦線離脱がバルサにもたらした影響は計り知れませんでした。しかも絶好調の状態での負傷でしたからね。この負傷で色々歯車が狂いました。負傷さえなければ、いらん事も言わんかったやろうし。
グジョンセン
やはりラーションにはなれなかった。元々タイプが違うので比較する事自体が間違いではあるのですが、それにしても迫力不足でした。序盤戦は結構役に立っていたのですが、エトー離脱によってサブからスタメンへ格上げされると途端に実力不足を露呈。リーガでは12月以降音無しですからね。終盤戦では中盤で起用されるなどマルチロールっぷりも逆に仇な印象
サビオラ
シーズン前は完全に構想外でベンチに入れる日も来ないんじゃないのか?と言われてましたが、エトー、メッシの故障とグジョンセンの空回りによってチャンスが訪れました。その好機を逃さなかった所が流石コネーホでした。特に2007年に入ってからが怒濤で、1月は公式戦8試合で8得点と大暴れ。出場機会さえあればグジョンセン、エスケーロとの格の違いはハッキリと証明出来るのです。ただこの世界は指揮官に嫌われるとどうしようもないですからね。いままでありがとう、コネーホ。
エスケーロ
開幕前の予想通り、残念なシーズンとなってしまいました。エトー、メッシの怪我がなかったら出場機会があったのかさえ今となっては疑わしい限りです。試合に出てないので連携不足は仕方無いのですが、どうしても悪い面ばかり目立ってしまいました。実力に疑いの余地は無いのですがね・・・。
メッシ
飛躍的に増加したゴール数(6→14)が今季のメッシの成長ぶりを物語っていると思います。長期戦線離脱が無かったらいったいどこまで数字を伸ばしていたことやら。ブレーメン戦の終了間際の同点ゴールやクラシコでのハットトリック、5人抜き、神の手ゴールなど印象に残る得点も多かった。まさに記憶にも記録にも残るシーズンとなりました。ネガティブな事が多かった今季ですが、メッシとイニエスタの成長ぶりは正に希望の星でありました。
ジュリ
昨季はメッシが怪我してる間に印象的な活躍をしたのですが、今季は再現ならずでした。開幕当初はローテーションシステムもあって貢献度の高いプレーも多かったのですが、終盤戦は完全なるベンチ要員となってしまいました。ただ現在も多くのオファーが届いている事からも解る通り揺るぎない実力を持っている選手なのであります。アンリ加入決定で前線のポジション争いは更に激化しそうですが、どの選手ともタイプが違うので活かせる場はきっとある筈です
ロナウジーニョ
批判という批判で彩られた今季ではありましたが、なんだかんだでリーガ21得点ですからね。文句を言われる数字じゃないんです。負担が彼ばかりにかかって可哀想な面もありましたし。それにオーバーヘッドや壁の下抜きFKなど相変わらずファンタジーも披露してくれました。エースの宿命とはいえ、あまりにも期待値が高すぎる気も・・・アンリの加入はガウショの負担を減らせれる意味でも大賛成ですわ
ライカールト
迷走3バックや意味不明な交代、審判への抗議、ベンチ破壊など、今季は「?」な行動が目立ちまくった。
開幕前にテンカーテ離脱の影響が議論されていましたが、結果的には"不安的中"といった所でしょう。個人的には来季もパイナポーでホントに大丈夫なの?ってのが本音
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